
「仮面のロマネスク」「Melodia」感想
宝塚歌劇花組公演「仮面のロマネスク」「Melodia」を観劇して参りました。
久しぶりの全国ツアーです。
宝塚の全国ツアー
基本は東京と宝塚市の専用劇場での公演ですが、その合間に別の劇場での公演があったり、小劇場で若手を主演にした公演があったりします。
そして普段はあまり行かない都市での公演が「全国ツアー」です。いわゆる地方公演です。
全国ツアーは、組の全員で行くのではなく、約半数で行います。
残りの半数は小劇場(宝塚バウホールなど)の公演を行っています。
ですので規模としてはいつもより小さくなってしまうのですが、下級生にとっては役がついたり、ショーで目立つポジションを貰えたりと活躍の場にもなるのです。
「仮面のロマネスク」
ストーリーは公式HPに書いてある程度で、基本は予習なしで行くことにしました。
知らない方が楽しめるときもあるし、難しいのは予習する方が楽しめる場合もあります。(オペラ作品は予習が必要した方が分かりやすい多いです)
大人の恋の駆け引きは、宝塚でそこそこあるパターンです。想像がつきます。
ただ、あまり想像がつかなかったのはトップみりかのコンビの大人の駆け引き…。
かのちゃん(花乃まりあ)はハッキリ目の色味のドレスも着こなしていたし、みりおくん(明日海りお)は安定の美しさで、シーンによっては色気が溢れるのですが、どちらかというとこのお役は普段からフェロモン振りまいているようなタイプなのでちょっと綺麗すぎたかもしれないなーと思いました。
宝塚のトップスターの役って、女性ファンが殆どなのに女の敵みたいな嫌なヤツなことが意外と多いのですが、今回のヴァルモン子爵もその一人です。
女を惚れさせては捨てていく、恋愛をゲームのように思っていて、だけど才覚も社交術も長けていて女性にも人気があるという人物です。
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釘付けになるラブシーン
こっちの意識がぶっ飛びそうになるほどエロい雰囲気を放って「宝塚でいいのか?これ?」なラブシーンなのですが、もう覚えていることったら、
トゥールベル夫人(仙名彩世/ヴァルモンのターゲットの貞淑な人妻)が、ひたすら
「いけませんわ!何をなさりますの!
ああ、わたくし…!!」
「おやめになってください、神への冒涜ですわ(涙)」
と、優しかったり強引だったり、あの手この手で迫りくる、
みりおヴァルモンを拒否しまくるということでしょう!
なんか拒否り方が妙にエロい…
会場の99%の女子が、
「か、変わりたいっっ私なら拒否しないわっっ」
と思ったことでしょう。
でもそこで拒否するから更に言い寄られるっていう、モテの公式とか知らないのに天然でモテ言動を発動しちゃってる方なんでしょうね、トゥールベル夫人ってきっと。(若干の妬みw)
そう、落ちたらさっさと他に行ってしまうのです、でも拒否ってたら「ナニクソ」とばかりに頑張るでしょう?よくあるプレイボーイが自分に靡かないコに躍起になってるうちに恋しちゃうって話。まさにアレ。
草食系ナニソレな時代のヴァルモンのアグレッシブさときたら、現代の男子に見習って頂きたいが完コピはやめて頂きたいという(注文多すぎ)恋愛攻め120%の男。どんなに拒否されても1%の揺らぎがあれば攻め続ける姿勢は凄い。
感情移入はあまり出来ないけど、あれだけ言い寄られたらフラーっとなるのも仕方ないです。
みりおヴァルモンを拒否ることができますか?
駆け引きとはわかってても勿体ない!!ですよね。「あっそ」ってリターンされたら泣いても泣ききれない。
そう、できないからこそやってみたい、
みりおヴァルモンを80%位拒否るという技!
(技なのか?)
100%拒否ではないところがポイントです。
ヒロイン差し置いて、あの拒否りっぷりが頭から離れないっ。
かのちゃんメルトゥイユの悪女っぷりは後半なぜか嫉妬して束縛しようとするふつーの女になっていてちょっと残念だったです。それはそれで可愛いのだけど、普通になったらヴァルモンの気は引けないでしょうよ。
それでもヴァルモンは「あなた(メルトゥイユ)は特別」と言っても、どの辺が特別なのかあまり伝わってこなかったし、メルトゥイユに嫉妬されたトゥールベルもどこが特別視されていたのか分からない部分があるように感じました。
そこは心に仮面をつけなくていいと思うのですけど…。と言ってしまうとそもそも最初から仮面をつける必要がない、と作品全否定になってしまうかもしれませんが、当時の宮廷には仮面が必要であったということです。
ですがこの二人は元恋人である意味同盟のような関係でもあった訳です。相手を信頼しきれてないが故にラストは破滅が訪れるのですが、宝塚の舞台では破滅という程にはなっていないのでその辺が理解しにくさを招いているのだと思います。
ちょっと残念だったこと
いつもの劇場で演じていたら見え方も違ったのでしょうか。
地方だとどうしても銀橋はないし、オケもないし、セリはあったりなかったり、ライトも違いますし、とあげればきりがないけど、とにかくスケールダウンしてしまうことが多い。仕方ないけど、役者だけではない「宝塚」の良さが全て引き出せないのが地方公演の残念なところだと思うのです。
今回の会場はセット転換の音がガラガラと響いてしまい、芝居はシリアスなシーンが多いだけに残念でしかありませんでした。
レビュー「Melodia」
レビュー「Melodia」はうってかわって明るいノリノリで楽しいショーでした。
「新源氏物語」のときのショーです。
お衣裳も宝塚っぽさ、これぞ宝塚感たっぷりのキラキラのスパンコールの燕尾服に羽根、スーツ物、アラビアっぽいものまで、とにかく目まぐるしく変わって楽しい!
これも地方の残念な所なのですが、トップが客席降りしてるなら舞台にも誰か一人置いておいてよっていうねw人数少ないから厳しいのは分かるのですが、空の舞台は寂しいですよー。
レビューのラストの方に例の「リフトしたままターン」
オペラグラスなしで生で見ると逆にグッと近くに感じられるときがあります。
ああ、同じ時代に生きていて同じ空間の空気吸ってるわ!って実感できると言いますか(変態?)遠い存在だけど近くにいるのだなって感じられるのです。
キラキラした笑顔をみているだけでキラキラの粉がかかって、少し自分もキラキラに近付けるような気持ちになるのです。しかも癒し効果付き。
だから何度も何度も、そして地方まで観に行ってしまうのですね。
まとめ
ざっくりまとめると思ったより良かったけど課題が残るねって感じです。
とはいえまだ公演期間はありますので、千秋楽にはもっとよくなっていることと思います。
花組さんは再演が多いので、他に再演で観たい演目ってあるかなーと考えたときに、
「琥珀色の雨に濡れて」
が浮かんだのですが、みりおくんの色と違うので「ナイナイ」と思いましたが、ヴァルモンをみてるとわりといけるのかも…とちょっと期待してみたい気持ちになりました。娘役もかなり円熟した上手な人が求められるので、その点でもこれから来年にまた娘役が変わるので実際は厳しいと思います。
それでもみりお押しならやりそうな気もしますな。
宝塚には座付きの脚本家がいるのだから当て書きでいいの作って頂きたいです。
※この記事は以前に掲載していたものを編集したものです。
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